ペットを迎えて、より充実した一人暮らしを過ごしたいと思う方もいるでしょう。確かに純粋無垢なペットは、学業や仕事で疲れた人間を癒してくれます。

ですが、ペットを迎えるということは、命を預かる責任感が伴うものです。衝動だけで飼ってしまうと「思い描いていた生活と違う」とギャップが生まれてしまいます。

ペットも人も幸せな生活を送るために、確認しておくべきことや、一人暮らしと相性の良いペットなどを解説しています。ぜひ、新しい家族を迎える前にご一読ください。

一人暮らしでペットを飼う前に注意すべきこと

自身の金銭的状況や契約条件的に問題が無いか、事前に確認しましょう。

ペット可の物件であること

ペットを飼う際はペット可の物件を探しましょう。ペット不可の物件で動物を飼育した場合、住民トラブルや退居要請など、生活が難しくなるリスクがあります。

また、ペットを飼うことによって部屋の壁や床に傷が付いたり、臭いが付いたりすると、原状回復が難しくなります。消臭や修繕にかかる費用が退去時に請求されることがあり、想定外の出費が発生してしまうでしょう。

ペットを飼うことを決めたら、まずはペット可の物件への引っ越しを行いましょう。

病気やケガがあっても経済的に問題無いか

ペットの治療費は高額になりがちです。病気やケガの内容によりますが、数万円から数十万円かかることがほとんどです。

健康な子でも、犬や猫の寿命(11~13年)で100万円~350万円ほどかかるといわれています。病気がちな子であれば、さらに高額になるでしょう。

ペット保険もありますが、カバーしている範囲でない治療は全額自己負担となります。いざというときに治療を受けさせるだけの余裕があるかを、ペットを飼うかどうかの判断軸にして考えてみましょう。

また、治療費だけでなく病気の予防や子どもが生まれたときの去勢費用、トリミング、えさやおやつ、おもちゃなどを購入する費用なども必要です。

近所迷惑にならない対策ができているか

鳴き声や臭いなどは、近所迷惑になる要因です。犬であれば、無駄吠えをしないように、きちんとしつけをしなくてはいけません。

猫の場合、出入り自由な飼い方をしていると家以外でトイレをしてしまうことがあります。また、事故や病気への感染リスクを考えると、猫は室内飼いをするようにしましょう。

たまに、爬虫類が逃げ出してしまったというニュースを見かけることがありますが、爬虫類に限らず脱走対策はしっかりと行いましょう。ハムスターのような小さい動物も、脱走してしまうと探すのが大変なのでケージや部屋からは出さないようにしましょう。

壁や床の汚れ・傷対策は万全か

ペット可の物件であっても、賃貸物件の場合は退居時に原状回復が必要です。そのため、ペットを飼う前に、壁や床に傷や汚れが付かないように対策しておきましょう。

特に猫は、爪とぎをするため壁に傷を付けてしまうことがあります。爪とぎ防止のシートを用意したり、しつけたりして対策しましょう。

床はペットの爪で傷が付きやすいので、カーペットを引いておくと◎特に犬の場合は、猫のように爪を出し入れできないので、フローリングだと足が滑りやすいといわれています(同様に爪が出っぱなしのペットも滑りやすいでしょう)。爪がひっかかるように、カーペットを引いたり、滑りにくいマット引いてあげると、滑らず傷も付かずで一石二鳥です。

ペットといる時間は確保できるのか

特に犬の場合は、散歩の必要があります。そのため、散歩をさせる時間も無いほど忙しいのであれば犬を飼うのは難しいでしょう。猫は比較的一人で居る時間が長くても平気だといわれていますが、やはりかまってあげる時間が少ないとストレスを感じてしまうものです。

ペットにとっての遊びは、野生動物を刺激して気持ちを発散させる役割を持ちます。そのため、一緒にいる時間が取れずかまってあげられないと、徐々にストレスをためてしまうのです。

自分に何かあったとき預かってくれる人はいるか

飼い主である人間も、病気や事故といった不測の事態に見舞われることがあります。そんな時に備えて、ペットの世話をしてくれる人を探しておきましょう。お金に余裕があるなら、治療している間はペットホテルに預けるのも手です。

また、預けられる人が見つかったらペットの情報を共有しておきましょう。特に、病気がちな子やアレルギーがある子は、細やかなお世話が必要です。自分が元気なときにペットノートを付けて、預かり時に見てもらえるようにしておくのも1つの手です。

責任を持ってお世話ができるか

ペットは可愛がるだけではいけません。えさの用意やトレイの掃除、快適に過ごせる環境づくりなども必要です。伸びた爪を切る、吐いたものを片付ける、といったこともあります。キレイでかわいいばかりではないことを知っておきましょう。

さらには、日々の様子を観察して変化が無いかも気にかけます。撫でたときの感触や毛艶、鳴き声やえさを食べる様子などを見て、おかしいなと感じることがないかをチェックし、変化があれば病院へ連れていきます。病気やケガをしてしまったときは、薬を塗ったり飲ませたりもします。

爬虫類や魚類であれば、水槽の温度管理や水質管理なども必要でしょう。

自分が飼いたいペットには、どういったお世話が必要なのかを前もって調べておき、自分にそれができるのだろうか、と考えてみましょう。

一人暮らしでも飼えるペット

一人暮らしという条件でも、家族に迎えやすいペットの種類を紹介します。ですが、種類によっては懐きにくい・世話が大変なものもいるので、しっかりと調べてから飼うようにしましょう。

室内飼いができ、1匹でも寂しさをあまり感じないので一人暮らしのペットとしても人気です。種類によって体の大きさや毛の長さが異なります。高いところを好むので、キャットタワーがあるといいでしょう。

ペット可の賃貸物件の場合、小型~中型くらいの犬種までとされていることが多いので、買いたい犬種が決まっているときは要注意です。賢くて人と一緒にいるのが好きな犬は、パートナーにもなる存在です。

うさぎ

意外にも人に懐くといわれているのがウサギです。種類によって大きさや毛の長さが異なります。鳴きますが、さほど大きくはありません。

ハムスター

小さなふわふわのげっ歯類です。省スペースで飼育できるので、部屋が狭くても飼えますが、脱走して押し入れなどを住みかにすることもあります。

ハリネズミ

とげとげの毛皮を持つモグラの仲間です。夜行性で基本的には懐きませんがとても愛らしい姿が人気です。起きている姿を見られるのはレアともいわれています。

モルモット

20cmから40cmほどのネズミの仲間で、カラフルな体毛が魅力です。ハムスターよりは大きいですが、ケージで飼えるので、一人暮らしの部屋でも買いやすいでしょう。プイプイという鳴き声が特徴です。

リス

近年人気ですが、懐くまでには根気がいるといわれています。ですが、かわいらしい見た目に惹かれる人も多いペットです。

チンチラ

大きな耳ともふもふ毛並みが人気のペットです。活発で、ケージから出して運動させてあげるのが良いといわれています。大きさは20cmから40cmほどと、モルモットと同じくらいです。

インコ・小鳥

雛や卵から育てると、人を怖がらずに手乗りができます。成体を飼う場合は、懐くまでに時間がかかるかもしれません。トイレのしつけができないので、部屋で放すときは掃除しやすいようにしておくといいでしょう。また、思っているより長生きします。

金魚・熱帯魚

きれいな色や独特の形に癒されるペットです。水槽と合わせて酸素の供給や水の循環などの装置が必要になるので、機械音が気になる場合もあります。

カメ

長生きの象徴でもあるカメは、ペットとして良く飼育されているアカミミガメで寿命が40年といわれています。リクガメだと60年~100年ともいわれているので、飼い始めるタイミングによっては、飼育を引き継げる人を探しておくのがいいでしょう。のんびりとした姿に癒されます。

ペットを飼うメリット

ペットと一緒に暮らすことで下記のようなメリットがあります。

癒される

かわいい姿はやはり癒されます。鳴き声やしぐさ、時にこちらの言葉を理解しているような様子も愛しいものです。

生活が規則正しくなる

エサを与える、散歩に行くなど、必要なことが決まっているため、日々の生活が規則正しくなっていきます。また、誤飲や怪我などをしないようにと、部屋の片付けを始める人も少なくありません。

責任感が芽生える

命を預かっているという感覚から、責任感が生まれます。愛情もあるので、食べさせるものを考えたり、飼育環境を整えたりといったことをするようになるでしょう。

ペットを通して交友関係を広げられる

同じペットが好きという共通点があるので、SNSで繋がったり、散歩先で出会いが増えたりと、交友関係が広がりやすくなります。

ペットを飼うデメリット

生き物は可愛いだけでは済みません。デメリットを把握し、問題が発生しても対処できるのか確認しましょう。

敷金や退去費用が増える

ペット可物件では、入居時に保証金として敷金が増えるケースがあります。また、退去時には原状回復が行えるかといった点で、追加で費用が発生することも。金銭の余裕を持っておくことが大切です。

家を長期的に空けられない

旅行や出張などで長期間家を空けるのが難しくなります。短期間であれば、ペットホテルやシッターを利用できますが、長期の場合は費用もかかるので大変です。

部屋が汚れやすくなる

トイレが上手くできない、エサをこぼしてしまう、床や壁に傷を付けてしまったりもします。抜け毛が気になる場合もあるでしょう。こまめに掃除をする習慣をつけましょう。

しっかりと準備をしてペットを迎えよう

一人暮らしでペットを飼いたいときは、まずは知識をつけるところから始めましょう。飼い方や費用、病気や事故にあったときの対処法など、広く学んだうえで本当に飼えるのかどうかを判断してください。

ペットは一人暮らしの良いパートナーになってくれます。ですが、かわいいだけではありません。互いに健康に生きていくために、必要なことが何かを知っておきましょう。